Coinbaseが開発したイーサリアムのレイヤー2ネットワーク「Base」上で、新しいミームコインがローンチされた。その名は「Cocoro(COCORO)」。何を隠そう、かのドージコイン(Dogecoin)の元となった柴犬「かぼす」の飼い主である佐藤敦子氏の元へやってきた新たな保護犬「こころ」にちなんで名付けられたものである。
ちなみに、ミームコインとはインターネット上のミーム(画像や動画、フレーズがSNSなどで拡散される風刺的なコンテンツ)やジョークを元に作られた暗号資産のこと。その代表例がドージコインで、実用性より話題性が重視され、SNSやコミュニティの影響で価格が急騰・暴落しやすい特徴をもつ。
Cocoroもドージコインから派生するかたちで誕生したミームコインなので、おすすめのミームコインのリスト入りにも期待がかかる。
トークノミクスと価格変動
Cocoroの発表後、トークンは急激に時価総額を上昇させ、一時は8,000万ドルを超えたものの、その後は約4,600万ドルに下落した。ローンチ時のトークン価格は0.08ドルほどであったものの、その後は緩やかに下降を続けている。供給量の75%は流動性プールにロックされ、20%がDOGおよびNEIROトークンの保有者にエアドロップされ、残りの5%はDAOの準備金として使用される。
Baseを選んだ理由
「Cocoro」の匿名CEOである「Smoke」は、Baseを選んだ理由としてスケーラビリティとコストの低さを挙げている。Baseの利用によりイーサリアム上で高速かつ低コストでスケール可能なプロジェクトを構築できるとし、これによりエコシステムへの影響を大いに期待していると語っている。また彼は、前回のプロジェクトであるDOGトークンがBase上で100万人以上の保有者を持つことにも言及した。
ドージコインとの関連と知的財産管理
「DOGE」の元となった今は亡き柴犬「カボス」と「Own the DOGE」が知的財産を所有することになったエピソードは、非常に興味深い経緯を辿っている。そもそも「DOGE」は2013年にビットコインの派生として作られた仮想通貨であり、そのロゴにはインターネット上で人気を博していた柴犬の「カボス」の画像が使用されていた。カボスは実際に日本の飼い主であるによって飼われていた柴犬で、笑顔を浮かべたその表情が、インターネットユーザーによって「Doge」ミームとして広まり、やがてDOGEコインの象徴となったのである。
一方で、DOGEの発展とともに、その知的財産に関する問題も浮上する。カボスの写真が無断で使用されていたことが明らかになり、著作権に関する議論が巻き起こったのだ。その背景には、仮想通貨の世界では多くのコンテンツがミームやアートとして自由に使用される一方で、オリジナルの権利者に対する配慮が不足しているという問題があった。
Cocoroの知的財産権はOwn the DOGEが所有することに
そこで登場したのが、「Own the DOGE」というプロジェクトだ。このプロジェクトはDOGEの知的財産に関する管理を強化し、今後の使用に関するルールを明確にすることを目指して立ち上げられた。具体的にはカボスのオリジナルの写真や関連するIPを適切に管理・保護するための仕組みが構築され、今後のDOGEコインやその関連プロジェクトにおける知的財産権の所有権が「Own the DOGE」チームに移行することとなった。これによりDOGEのブランドやキャラクターが合法的に使用されることが保証されただけでなく、その後誕生することになるCocoroも明確なIP管理体制を持つ新たなプロジェクトとして注目を集めることとなったのである。
影響と今後の展開
Cocoroのローンチ後、DOGトークンの価格は25%上昇した一方、佐藤氏が迎え入れた別の保護犬を基にしたミームトークン「NEIRO」は14%下落した。NEIROトークンはDAOの投票で支援を受けることが決定したが、正式な契約は今のところまだ結ばれていない。紆余曲折は今後も予想されるものの、Cocoroは佐藤氏の犬に関連するミームコインの新しい道筋を示し、今後の仮想通貨プロジェクトにおける知的財産管理の重要性を再認識させる出来事となったことは確かだ。